077100 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Lee-Byung-hun addicted

Lee-Byung-hun addicted

Jealousy × Jealousy 1

Jealousy × Jealousy

「ああ・・いいよ。いいよ。重いものは俺が運ぶから。揺は座ってその役立たずとチヂミ焼いてろ」
晋作が大きな屏風を抱えて言った。
「でも・・悪いわよ。晋さんお客様なのに・・私がやるって」
「危ないからいいよ。それにお前病人なんだぞ。いくら調子がいいからって無理するなよ」
「大丈夫よ。そんな・・晋さん、相変わらず心配性なんだから。」
晋作と揺がそんな会話をしながらソルラルの準備を進める様子をビョンホンは複雑な気持ちで眺めていた。
手にはフライ返し。
焼いているチヂミをぎゅっと鉄板に押し付ける。
確かに晋作がいてくれて助かっているけど・・・面白くない。


2月17日 
ソルラルの連休初日。
ビョンホンの家では明日のソルラルのお祝いに向けて準備に余念がなかった。
「オモニ、僕がビョンホン君の代わりに力仕事引き受けますから何でも言ってくださいね。」
ビョンホンオモニの招待もあり揺の様子伺いを兼ねて韓国を訪れた幸太郎・綾夫妻と晋作。
足を折って自由の利かないビョンホンの代わりに晋作は前日から甲斐甲斐しく働いていた。
この日。
「お父さんたちと観光でもいけばよかったのに・・」と気遣う揺。
「使えない男と病み上がりのお前だけ置いて遊びに行ったって心配でしょうがない」
晋作は芝居がかった声でそういうとチヂミを黙々と焼いているビョンホンをチラッと見てニヤッと笑った。
(またやってる・・・)
揺は呆れて二人をきょろきょろ眺めた。
わざとビョンホンの気に障るようなことを言ってからかって楽しんでいる晋作。
冗談だってわかっているはずなのに負けず嫌い故言い返さないビョンホン。
本人は気がついているのか・・チヂミを焼きながらずっと口が尖っている。
全く子供みたいなんだから。揺は苦笑した。
ビョンホンの機嫌が悪いのは何も揺だけが原因ではなかった。
オモニやウニに晋作の評判がとても良いのがビョンホンは癪に障った。
今年の初めに揺の見舞いにオモニとウニが東京に来た時、揺のことで頭がいっぱいのビョンホンの代わりに晋作が二人の世話をあれやこれと焼いたときから晋作の評価は最高ランク。
今回の旅行も「是非佐々木先生もご一緒に」と熱烈なラブコールを受けてのこと。
「オッパー」「オッパー」ウニが晋作をそう呼ぶたびにビョンホンは無性に腹が立った。
妹もいい年だから自分にべったりなのも困るがあからさまに他の男に甘える姿は兄として複雑な心境だ。
この日も晋作が残ると聞いたウニが「じゃ私も行かない」と言い出したことがビョンホンは気に入らなかった。
(ウニにまでいい顔しやがって・・・。全く・・・何かムカツク)
ビョンホンは心の中でそうつぶやくとチヂミをひとつ口に投げ入れた。
「ビョンホンssi・・それ、いくつめ?折角焼いてるのになくなっちゃうわよ。そんなに食べちゃったらお母様に怒られるわ」
揺はそう言って苦笑いをした。
「俺が家長なんだからいいんだよ。無くなったって。」
彼は真面目な顔でそういうとまたひとつチヂミを口に放り込んだ。
「ずいぶん偉くなっちゃったね。そっかぁ・・意外にワンマンなんだ。先が思いやられるわ・・お嫁に来るの考え直そうかな・・」
冗談交じりに笑いながら揺が言った。
「そうだやめちゃえ、やめちゃえ」晋作が茶々を入れる。
「嫌ならやめればいいよ。そこのオオカミがよだれ垂らしてるぞ。」
ビョンホンは顔色変えずにそういうと松葉杖を持って不意に立ち上がりダイニングを後にした。
「もう・・・晋さんもからかいすぎよ」
揺はそういって晋作を睨みつけると慌ててビョンホンの後を追った。
「全く・・・犬も食わねえよ」
晋作は笑いながらチヂミをつまんだ。
「これ、うめぇ・・」

「ほら、つかまって」
階段を登りかけたビョンホンに揺が自分の肩を差し出した。
「いいよ。お嫁に来ないんだろ。オオカミに食われちゃえ。」
「もう・・子供じゃあるまいし。何すねてるのよ。今更逃げようったってそうはいかないんだから」
揺はそういうと彼の腕を強引に自分の肩にかけた。
彼はそんな揺の横顔をちらっと見る。
「家長は名誉の負傷なんだから堂々と何もしないでいいの。晋さん、あなたをからかって遊んでるだけなんだから気にしなきゃいいのに・・。それにあなたの心は全部私にくれたんだからウニちゃんのことは諦めるのね。そろそろ妹から卒業したら。優しいオッパ」
何だ・・すっかりばれてる。
ビョンホンは照れくさそうにため息をついた。
揺は笑ってそんな彼の頬にそっとキスをする。
照れたように微笑みながら揺の耳元に唇を這わせる彼に
「ほら、調子に乗ってるとまた落ちるわよ」と彼女が言った。
「何ならもう一回一緒に落ちてみる?」
耳元で悪戯っぽくささやく彼のお尻を揺は思いっきり叩いた。
「痛てっ」


© Rakuten Group, Inc.